ウィーンのカフェハウスは、日本によくあるようなふつうの典型的なカフェとは異なった趣を持っています。
また、やはりカフェで有名な都市パリのカフェとも全く違ったものです。
カフェハウスの内装はひじょうに重厚で豪華です。椅子やシートは布張りで、天井が高く空間もとても広いです。
一度来たらまた来たくなる、そんなカフェハウスの魅力のヒミツは、美味しいコーヒーやケーキ、美しいインテリアのみではありません。ウィーンのカフェハウスには、欠かせない存在がいくつかあるのです。
例えば、給仕をしてくれるウェイターのことをウィーンでは「ヘア・オーバー」と呼びます。
彼らは黒のスーツに蝶ネクタイという正装をしています。
彼らを呼んで注文を伝えてしばらく待つと、シルバーのトレイに乗せられたコーヒーと、小さなグラスに注がれた水が運ばれてきます。
ふつう(日本では何も言わなくても水が運ばれてくることが多いですが)ヨーロッパのカフェではお冷が運ばれてくることはありませんから、これはウィーン(やオーストリア)ならではのサービスですね。
オーストリアでは、アルプスの天然水が水道で飲めるからこそ可能なサービスといえるかもしれませんね。
また、ウィーンのカフェハウスには常に数種類の新聞が置かれています。
自国の新聞、地元の新聞、場合によっては海外の新聞など、何種類もの新聞が置かれているのがふつうです。
中にはカードをしたりチェスをしたりするためのコーナーを設けていたり、ビリヤードの台が設置されているカフェハウスもあります。
昔から、カフェハウスでは新聞を読んで情報収集をしたりそれについて議論をしたりといったことが行われてきたのですね。
また、肝心のコーヒーのメニューはやはりウィーン独自のものが多く見られます。
初めての人にはどれがどのようなコーヒーなのかちょっと想像がつかないでしょう。
基本のコーヒーに、ホイップクリームやリキュールなどによって少しずつ違ったアレンジがされているものが多いです。