コーヒーを1日に何度も飲む、という人ほど、その味に案外無頓着になりやすいものかもしれません。
何かの作業をしながら、本を読みながら、という状況で飲むコーヒーは、飲むこと自体が息抜きやリラックスになるものですが、コーヒーそのものの味を吟味するということは少ないかもしれません。
でも、コーヒーは、全く同じ味のものは2つとしてないと言っていいほど、数え切れない数の種類が存在するものです。
農作物であるコーヒー豆は、育った環境や加工の方法の違いによって、個性に違いが生まれますし、輸送方法や保存方法も全てその味に影響してしまうものです。
そういう点では、ワインとまったく同じといえるかもしれません。
加えて、当然豆の焙煎や挽きの段階はそれぞれ異なりますし、淹れ方もちがいます。
このようにして、厳密に言って全く同じコーヒーはこの世に2杯とないのです。たとえ、同じカフェの同じ銘柄であっても、淹れる人が違えば味は微妙に変わります。
そんなわけで、コーヒーと食べ物の組み合わせも、無限大になることが予想できますよね。
ワインとチーズやその他の食べ物との相性は、マリアージュ(結婚)と呼ばれています。
ワインと何かを組み合わせることで、お互いの個性を引き立てあったり強調したり、思いもしない味わいが生まれたりするものです。
このようなマリアージュは、コーヒーの場合でもあるといえそうです。
さて、コーヒーのためのスイーツ、といってもさまざまなものが考えられます。
これらを適当に組み合わせてコーヒーとの相性をひとつひとつ確かめていくのはとても大変な作業となってしまいます。
味というのは、混ざり合うことによって、お互いを消しあったり、お互いを補ったり、お互いの個性の違いを際立てたり、という反応が起きます。
実際に合わせてみると、予想できなかった味わいが生まれるというのも珍しいことはありません。
大まかな目安としては、味の方向性が同じものを合わせると失敗が少ないかもしれません。
あるいは、酸味の強いコーヒーであれば、甘味や苦味が強いものを組み合わせるなど、味わいを互いに補い合うようなものを選ぶというのも、ひとつの方法です。